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毛管上昇(capillary rise)
毛管力により土中の間隙を水が上昇または移動する現象をいう。毛管現象は、水の表面張力と付着力によって発生する。毛管現象によって地下水面より上昇した毛管水の圧力は大気圧より小さく負圧となるため、これがサクションとして働き、間隙内に水分を保持する力となる。毛管現象によって地下水面の直上に形成される、水理学的に連続した水が分布する層を毛管水帯(capillary zone, capillary fringe)、その高さを毛管上昇高という。毛管上昇高hcを近似的に求める方法として、例えば、hc=C/(e・D10)が提示されている。ここでeは間隙比、D10は粒径加積曲線から得られる有効径(cm)である。Cは0.1〜0.5 cm2の値をとる。代表的な毛管上昇高は、粗砂で2〜5 cm程度、中砂で12〜35 cm程度、細砂で35〜70 cm程度、シルトで70〜150 cm程度、さらに粘性土では200〜400 cm程度もしくはそれ以上とされている。ただし、hcが10 mを超えることはない。土のサクションと水分量の関係を表す水分保持曲線(water retention curve)または水分特性曲線でサクションを上げていくと、水分量が急激に減少し始める負の圧力水頭が現れる。この圧力水頭は土の空気侵入値(air entry value of soil)と呼ばれるもので、通常、毛管上昇高さに対応する。毛管上昇高さは凍上現象とも関係が深い。 |
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